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研究開発に関する基本的な考え方

空間環境を創造し、地球へ、そして宇宙へ、あらゆる環境革新をリードし続けるために、以下の基本方針に沿って高砂熱学グループ一体となり研究開発を推進しています。

研究開発基本方針

  1. 社会に大きな付加価値を与える、あらゆる生産性向上のための環境技術を提供する。
  2. 地球環境を守るため、脱炭素に貢献する特色ある技術を開発する。
  3. 技術者としての矜持を持ち、常に正々堂々とチャレンジを続け、自らを進化させる。

研究開発・事業開発推進体制

研究開発本部では、「つなぐ研究開発、つなげる事業開発」を開発方針として、「技術研究所」・「カーボンニュートラル事業開発部」・「企画管理部」の3部門で活動を行っています。

研究開発・事業開発推進体制

研究・事業開発テーマ

研究開発のテーマは、「建物の環境を創る」、「地球環境を守る」、「新たな環境に挑む」の3+αを柱とし、脱炭素社会の実現、地球環境保全、生産性向上・働き方改革、その他多様な顧客ニーズに応える技術と商品の創造に努めてきました。
具体的には再生可能エネルギー・未利用エネルギー利活用技術の開発、資源循環型利用技術の開発、高砂熱学イノベーションセンター導入技術の性能向上・検証に取り組んでいます。
特に脱炭素の推進への寄与が期待される水素エネルギー利用技術を重要開発課題と位置づけ、関連する技術の開発・事業開発を推進しています。

研究開発に関する取り組み

クローズドVOC回収システム第48回 環境賞 優秀賞受賞

7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

9 産業と技術革新の基盤をつくろう

13 気候変動に具体的な対策を

14 海の豊かさを守ろう

15 陸の豊かさも守ろう

実証システム

粘着テープ工場や印刷工場の製造工程には、溶剤を蒸発させるドライヤ(溶剤乾燥炉)があります。そこで排出されるトルエンや酢酸エチルなどの揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:VOC)は、光化学スモッグの原因になるなど、呼吸器系や粘膜に健康被害を与えることが知られており、法規制に則り処理されているものの、2020年度における日本国内のVOC総排出量は約57万トンにのぼります。
VOC排ガスの処理方法として主流である燃焼方式は、VOCの燃焼によって大量のCO2が発生するため、地球温暖化防止、脱炭素社会の実現の観点からもVOCの非燃焼処理が望まれています。

当社は、VOCを燃焼せずに吸着回収し、さらにVOCの大気放出量を大幅に削減する処理システムを開発しました。本システムでは、ドライヤーの排気を処理したのちに給気として循環再利用(クローズド化)することにより、排出口がなくVOCの大気放出量を原理上ゼロにすることが可能です。

2020年度から実際に稼働している粘着テープ工場(株式会社寺岡製作所)に実証試験機を導入し、実証運転を同社と共同で開始しました。結果として、従来設備と比べてVOC排出量を95%削減、CO2排出量を78%削減できることを確認しました。
また、製造環境への影響評価では、給排気をクローズド化することで外気の影響を受けず、製造環境を一定の低湿度状態を維持でき、製品品質が従来と同等であることを確認しました。
この取り組みは、第48回「環境賞」(主催:国立環境研究所・日刊工業新聞社、後援:環境省)にて、環境保全・環境の質向上へ貢献する技術として評価され「優秀賞」を受賞しました。
トルエンや酢酸エチルなどの低沸点溶剤のほかに、リチウムイオン電池や全固体電池製造などで使用される高沸点溶剤の回収にも取り組んでいます。
今後も非燃焼処理によるCO2排出削減と、VOCの大気放出削減を同時に達成する本システムの展開により、地球環境保全に貢献してまいります。

従来システムとの比較

吸着材蓄熱システム
メガストック®コージェネ大賞2021産業用部門優秀賞受賞

エネルギーをみんなに そしてクリーンに

産業と技術革新の基盤をつくろう

住み続けられるまちづくりを

気候変動に具体的な対策を

産業分野でのさらなる省エネ・CO2排出量低減のために、排熱の活用が求められています。高温排熱は発電・蒸気等での利用が推進されていますが、100℃程度の低温排熱は用途が限定されるうえに、「熱需要」との時間的・空間的なギャップ(ずれ)から活用できず、大部分が捨てられているのが現状です。
そこで、この課題を解決するために、排熱・未利用熱を空調・熱源へ再生する、新たな大規模蓄熱システムを開発し、市場展開を進めております。

本システムの
特徴

繰り返し利用

本システムの特徴

吸着材(蓄熱材)への水分の吸脱着による
反応熱を利用

水分脱着→蓄熱
水分吸着→放熱(熱利用)

  • 80~200℃の低温排熱を蓄熱可能
  • 従来の潜熱蓄熱に対して2倍以上の高い蓄熱密度
    (500kJ/L 以上)
  • 回収した排熱を空調(暖房、外調、除湿)や給湯に利用可能
  • 蓄熱時の放熱ロスが極小
    (水分の吸脱着反応が原理のため)
  • 熱利用側の大幅なCO₂排出削減が可能

本システムは、工場施設内では定置型や場内輸送型として、回収した排熱を時間・場所の違う熱利用先で活用することが可能です。熱利用先は除湿・暖房・乾燥工程などが効果的です。
さらに、地方自治体等の汚泥・ごみ焼却場排熱、工場排熱などを周辺地域で活用する、オフラインの熱回収・輸送・利用システムとしての展開も期待できます。
2018~2019年度に、(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業において、東京都羽村市、ほか共同5機関とともに実証実験を実施しました。新たな高密度蓄熱材「ハスクレイ」を活用した蓄熱システムを構築し、定置型とオフライン熱輸送型で通年の実証データを取得するとともに、工場排熱、コージェネ排気や排温水での蓄熱と、生産ラインや民生施設での熱利用を実証しました。

なお、本事業において、2018年度NEDO戦略的省エネルギー技術革新プログラム優良事業者表彰、2020年度 NEDO省エネルギー技術開発賞 優秀事業者賞を受賞しました。2021年には、コージェネの排熱活用による「工場内のさらなる省エネ化」と「地域一体での熱エネルギーの面的利用」が評価され、「コージェネ大賞2021」の産業用部門において優秀賞を受賞しました。また、2023年には、「第11回カーボンニュートラル大賞」を受賞しました。

実利用例
羽村市地域
(日野自動車 羽村工場他)での熱融通

実利用例 羽村市地域(日野自動車 羽村工場他)での熱融通

関連リンク

かがくチップス(YouTubeチャンネル)「廃熱をいつでも好きな場所で利用する! ~蒸気で熱が復活する新・蓄熱材料~」

プレスリリース「コージェネ大賞2021 産業用部門 優秀賞を受賞」(2022年2月4日付)(554KB)

環境負荷低減と知的生産性向上を両立した
サステナブル研究施設
高砂熱学イノベーションセンター

エネルギーをみんなに そしてクリーンに

産業と技術革新の基盤をつくろう

住み続けられるまちづくりを

気候変動に具体的な対策を

当センターは、「地球環境負荷低減と知的生産性を両立したサスティナブル建築」の名のもと、単なる研究を行うためのハコではなく、まさに生きた実験施設として、省エネルギー・創エネルギーの工夫を行い、カーボンニュートラルへの貢献や、快適性に関わる実証試験を行っています。

建物環境性能の評価

高い環境性能を目指して計画し、省エネ性能を評価するBELSでは最高位の星★5つとNearlyZEBを、総合的な建物環境性能を表すLEED®ではGold認証を得ました。快適性・健康性を評価するCASBEE-ウェルネスオフィスではSランクの認証を得ました。

BELS表示認証 LEED®認証ロゴ CASBEE-WO認証ロゴ

  • LEED®認証ロゴは、米国グリーンビルディング協会所有の登録商標で許可を得て使用

グリーンボンド
インパクト・レポーティング
(環境影響評価報告)

高砂熱学イノベーションセンターは、各種省エネルギー手法の採用に加え、再生可能エネルギーとして太陽光発電、バイオマス発電を採用するとともに、残りの商用電力をグリーン電力で調達することによりカーボンニュートラルを実現しています。

CO2排出量

ZEBの達成状況 2021年度 対基準
エネルギー
消費量
対基準
エネルギー
供給量
オフィス棟 ZEB 0.35 0.91
敷地全体 Nearly ZEB 0.20 0.17
  • 基準値:オフィス棟 1,389MJ/(㎡・年)、敷地全体 3,150MJ/(㎡・年)

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