ニュースリリース News Release
2023年度 空衛学会業績表彰において7部門で受賞
プレスリリース
高砂熱学工業株式会社(社長:小島和人/以下、当社)は、公益社団法人空気調和・衛生工学会が主催する業績表彰において7部門で受賞し、5月10日に明治記念館において表彰式が執り行われました。表彰式では、論文賞、技術賞の受賞代表者が登壇し、次のようにスピーチを行いました。「開発したシステムの実導入を通じて、我が国のカーボンニュートラルに向けた低温排熱や未利用熱の有効利用の促進に繋がるよう努めたい。(研究開発本部熱・エネルギー研究開発室・谷野)」、「受賞の取り組みが参考になり、今後も増床が続くデータセンターの省エネ、省CO2に少しでも貢献できれば幸いである。(東京本店長・鮫島)」
左:学会賞論文賞【学術論文部門】受賞 研究開発本部熱・エネルギー研究開発室・谷野
右:学会賞技術賞【技術賞建築設備部門】 東京本店長・鮫島
明治記念館中庭にて受賞者の記念撮影
各業績表彰の紹介
■第62回学会賞論文賞【学術論文部門】
ハスクレイⓇを用いた開放系の吸着材蓄熱ヒートポンプシステムの開発
[評価点]
本論文は、ハスクレイⓇを吸着材として使った高効率な蓄熱システムを研究対象としている。本研究では、ハスクレイⓇの材料としての物性を定量的に調べ、その蓄放熱の挙動を数式でモデル化することを検討するとともに、複数の実証試験を通じて検討の有効性を確かめていることから、学術的な意義が高いと評価された。本論文で示された諸検討は、蓄熱材料としてのハスクレイⓇの基礎的な特性を明らかにし、これを使った蓄熱システムの設計を可能にするための数理モデルを提供するとともに、その有効性を複数の現実の施設で実証的に確かめている。一連の研究成果は今後の低温未利用廃熱の有効利用を促し、広域での熱融通に大いに寄与すると期待されている。
■第62回学会賞技術賞【技術賞建築設備部門】
白井データーセンターキャンパスの全体計画と運用検証
[評価点]
デジタル社会に不可欠なデータセンターにおけるエネルギー多消費という課題に対し、郊外型データセンター建物における空調エネルギーの最少化を追求、温度環境と省エネルギー性を高いレベルで両立し、PUE=1.298という国内トップレベルの省エネルギー性を実現した。特徴としては、サーバ室に外気冷房併用の壁吹出し空調方式の採用、建物形状・空間構成の最適化、AIを活用した運転制御、UPS室・電気室における置換換気空調システムなど、これまでに開発してきた技術を結集するとともに、ICT機器の搭載方法や気流制御等のベストプラクティスを徹底したことが評価された。
提供:株式会社インターネットイニシアティブ
■第62回学会賞技術賞奨励賞
虎ノ門ヒルズビジネスタワーにおける環境・設備計画と性能検証
[評価点]
エネルギーセンター、オフィス、商業施設、イノベーションセンターを備えた都市部の超高層複合用途テナントビルにおいて、BCPや省エネルギー、快適性に配慮した空調システムの構築に取り組むとともに、AIを活用したエネルギーマネジメントシステムを開発し、エネルギーセンターへの導入と検証を実施し、実用段階であることを確認している。このAIを活用したエネルギーマネジメントシステムは、実用的価値が非常に高く、今後の次世代エネルギーセンターへの波及効果も大きいと評価された。
■第24回特別賞十年賞
大阪エネルギーサービス第2プラント熱供給事業者が取り組んだ継続的な高効率運用
[評価点]
関西地区の交通の要である大阪駅の駅ビルに導入された熱供給施設において、熱供給事業者が、東日本大震災・新型コロナウイルス感染拡大といった熱需要の社会的変化に合わせ、運転管理のオペレータと協働し、最適運転予測・新たな運転パターンの試行・改善活動を繰り返すなどの徹底した運転管理により、高いエネルギー効率を維持し続けたことが評価された。
■第12回特別賞リニューアル賞
幕張新都心ハイテク・ビジネス地区熱供給センター熱源改修工事におけるプラント効率最大化に向けたシステムの再構築とその検証
[評価点]
カーボンニュートラルを実現するには、新築建物のZEB化に加え、膨大な既存ストック建物の省エネ化を進めていくことが肝要と考え、大規模建物が集積する都市部の既存ストック群に対し、面的に省エネ化を図ることを目指して、地域熱供給施設の高効率化リニューアルを行った。東京都の「地域におけるエネルギーの有効利用に関する制度」における非蒸気系地区の一次エネルギー効率(最高:1.48、平均:1.233;令和4年度実績)と比較しても、1.68と国内最高のエネルギー効率値を達成していることから、今後の地域冷暖房システムに関する改修による省エネルギー計画を考える上で非常に参考となるものであると評価された。
■第38回振興賞・技術振興賞
分散ファンによる最適風量制御空調システム
[評価点]
制御ゾーン毎にファン付き風量制御装置を配置し空調機ファンと連携させることにより、空気搬送動力を最小化するシステムの開発であり、一般に広く用いられている単一ダクトVAV方式に比べ大幅に搬送動力の低減を図っている。大規模事務所ビルをターゲットとした機器設計と標準化がなされ、横浜市にある横濱ゲートタワーの基準階事務室への導入による効果も検証されており、社会的に求められているZEB化に対応できる汎用性の高いシステムとなっている。またアフターコロナのオフィスでは空調負荷の偏在や変動が大きくなっており、時代に即した新しい技術チャレンジである点が評価された。
■第1回コミッショニング賞
虎ノ門・麻布台地区における AI 技術を活用した次世代型電熱供給エネルギープラントの構築に向けたコミッショニング
[評価点]
2023年6月30日に竣工した麻布台ヒルズエネルギープラントにおいて、都市の脱炭素化の実現に寄与する環境性能の確保とBCP性能に優れたシステムの構築というコンセプトを基に、特定送配電・地域冷暖房を導入し、面的な省エネルギー・BCP性能向上を目標に掲げ、先導的な省エネルギーモデルの構築に向けコミッショニングを行ったものである。大規模エネルギープラントの熱源設備およびコージェネレーションシステムの最適化による熱電供給の安定と省エネを実現する運用を目指し、計画、設計、施工の各フェーズでコミッショニングが適切に実践されており、これからの省エネルギー、カーボンニュートラルの実現に向けてのコミッショニングの適正な普及展開に資する業績であると評価された。
【高砂熱学工業株式会社について】 https://www.tte-net.com
1923年創立以来、空調設備の設計・施工を中心に、人に優しい快適空間の創出、高度に管理された生産工程環境の構築、AIを活用した設備の最適な運転や省エネのコンサルティングなど、建物ライフサイクル全般にわたってのトータルなサービスを、日本全域・中国・東南アジア・インド・メキシコで展開。グループパーパス「環境革新で、地球の未来をきりひらく。」のもと、心地よい環境を創造する「環境クリエイターⓇ」として脱炭素・サステナブル社会の実現に寄与する技術・サービスの創出に取り組んでいます。