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未来への提言 高砂熱学と共に創る
”みらい都市”

イノベーションセンター報 No.37, 2023

つくばみらい市
市長

小田川 浩

高砂熱学工業株式会社様が創立100周年の記念すべき節目を迎えられましたことを、心よりお祝い申し上げます。

高砂熱学工業様とつくばみらい市のあゆみが始まったのは、2020年8月5日のことでした。この日、「「みらい都市」の実現に向けた包括連携協定」を締結し、「教育」「防災」「コミュニティ」「エネルギー」の4つの分野において連携し、脱炭素社会の実現や、社会課題の解決に向けてともに取り組みを進めていくこととなりました。

いきさつを振り返ると、高砂熱学工業イノベーションセンターがまだ構想段階であったころに、ご担当者の方から「地域貢献に携わりたい」とのお話を頂戴したことが協定締結のきっかけであったと記憶しております。つくばみらい市には「つくばエクスプレス」の「みらい平駅」が立地し、高砂熱学イノベーションセンターが立地する「みらい平地区」では人口増加が進み、子育て世代を中心とした新たな賑わいが創出されているほか、工業団地やスマートインターチェンジの整備など、新しいまちづくりを進めています。

一方でそれに比例する形で、地域課題の複雑さは増していると感じています。加えて、地球温暖化に伴う気候変動により災害が激甚化していることから、市民の安全・安心な生活を今後も守り続けていくためにはどうすべきか、そして、脱炭素に向けた取り組みをどの様に推進していくのかなど、幅広いテーマにおいて課題が山積していると日々痛感しています。

これらの課題解決には、行政が主体となり取り組むことは当然ですが、専門的な知見と高度な技術を持つ企業の皆様と連携することで早期の課題解決に繋がり、さらに付加価値が加わると考えています。その中で、空調による環境革新に取り組む高砂熱学工業様と連携を図れることは、当市にとって大きな幸運でした。協定式当日、高砂熱学工業様と歩む未来への期待感に胸を膨らませたことを、昨日のことの様に覚えております。

協定項目が4つの分野に跨ることは先に触れましたが、ここで各分野の取り組みについて簡単に紹介します。

まず教育分野では、子どもたちの環境問題や持続可能なまちづくりへの意識醸成に取り組むべく、小中学生の夏休み自由研究に、新たに「高砂熱学環境クリエイター賞」を設けて頂いたほか、SDGsに関する出張授業などを企画して頂いているところです。

防災分野では、災害発生時の市民の安全なくらしの維持を目的とした取り組みを行っており、災害時避難所用空調ブースを寄贈して頂いたほか、富士見ヶ丘小学校を実証実験の場として、体育館空調システムの開発を行ってまいりました。

コミュニティの分野では、地域コミュニティの形成を目的として、2021年から高砂熱学イノベーションセンターを会場に「たかさごマルシェ」を定期的に開催し、地域交流の活性化に取り組んでいます。

エネルギーの分野では、脱炭素社会の実現に向け、専門的な知見を持つ高砂熱学工業様から市が取り組むべき施策への助言や、当市環境保全審議会への委員参加、市内公共施設への太陽光設備導入のポテンシャル調査などを行って頂いているところです。

とはいえ、全てが順風満帆に進んだ訳ではありません。各分野において様々な魅力的なアイディアが出され構想は進んでいくものの、新型コロナウイルス感染症拡大により様々な社会活動が制限されるといった苦しい状況もありました。そのような状況下でも、取組を1つずつ実現させていくことができたのは、高砂熱学工業様がこれまでの100年間で培ったパイオニア精神の賜物であったと強く感じており、その気概を肌に触れて学べたことも、この連携の成果であったと断言できます。

そして、いずれの分野の取組も、高砂熱学工業様の高度な知見と、イノベーションセンターが持つ機能を最大限発揮するもので、まさにこの連携でしか成し得ない内容です。また、これらの取組が評価され、総務省主催の「令和4年度ふるさとづくり大賞」において「地方自治体表彰(総務大臣表彰)」の受賞に到りました。

世界情勢が混迷を極め、地球温暖化による気候変動、そしてそれが引き起こす災害の激甚化など、次の100年はこれまで以上に困難な100年であろうことかと思います。この様な中で、「環境クリエイター」というヴィジョンを掲げる高砂熱学工業様の役割には、日本のみならず世界中が注目しているところです。その役割において、高砂熱学工業様とつくばみらい市との連携の内容が、何か世界のために役立てて頂けるようなことがあれば、市としてこの上ない喜びであります。

高砂熱学工業様が世界の期待に応えながら、次の100年で更なる飛躍を遂げられることを祈念し、お祝いの言葉といたします。