活性汚泥処理の高性能化技術
オゾン利用排水処理システム
有機性排水処理方法として広く普及している活性汚泥法の性能向上が実現できる技術です。
活性汚泥にオゾンを微量添加することで微生物の活性を向上させ、処理性能の向上、バルキング障害※1防止、汚泥発生量削減、処理水質改善を実現します。
本技術は、(地方共同法人)日本下水道事業団殿との共同研究の成果を活用したものです。
(特許第4907103号、特許第5095466号、
特許第5137724号、特許第5292240号、
特許第5607973号、特許第5687463号、
特許第5947067号)
導入実績:5件(2019年11月時点)
特長
- 活性汚泥の排水処理能力が向上するため、より多くの排水あるいはより高濃度の排水の処理が可能となります。
- 活性汚泥の絞まりが良くなり脱水が容易となるため、汚泥引抜量の減容化が期待できます。
- 排水処理が安定するため、維持管理が容易となりメンテナンス頻度の低減が可能となります。
- 本システムはオゾン発生装置とオゾンガス配管、コンパクト散気管からなる設備のため、既設の排水処理設備にも排水処理を停止させることなく容易に導入することが可能です。
- 本システム導入により得られた効果は、オゾン供給を停止しても1週間程度は持続します。
システム構成

導入期待効果
バルキング防止(汚泥沈降性向上)
- 糸状菌の繁殖防止効果によりバルキング障害※1の防止が期待できるため運転管理が容易になり、管理コストを削減できます。
処理可能水量の増加
- 活性汚泥の活性向上による処理能力の向上で、処理水量を15~30%増加させることが可能です。
- 活性汚泥濃度(MLSS※2)を高めて運転できるため、排水処理能力が向上します。
処理水質向上
- 有機成分除去能力が向上するため、処理水BOD※3を15~30%改善できます。
- オゾンの酸化力により油分が改質されるため、油分除去能力が向上します。
- オゾンによる酸化作用により色度分解が促進され、処理水色度を15~30%改善できます。
- 汚泥沈降性向上効果により排水中への懸濁物質(SS※4)の混入を削減できます。
余剰汚泥削減
- 汚泥のしまりが良くなり凝集性が向上するため、余剰汚泥の減容化が期待できます。
- 汚泥の脱水性が向上し含水率が数%低下するため、脱水汚泥引抜量の削減が期待できます。
導入のポイント
本システムは活性汚泥法による排水処理を行なっている排水処理設備に導入出来る技術です。処理能力の増強や信頼性向上を求める各種製造工場や大規模商業施設、集落排水処理施設等に有効な技術であり、特に以下の状況にある施設には非常に有効です。
- 処理能力が不足している排水処理設備
- バルキング障害リスクの高い排水処理設備
- 高濃度排水が流入する排水処理設備
- 油分濃度が高い排水が流入する排水処理設備
用語の説明
- ※1バルキング(膨化)障害
糸状微生物の異常な増殖などにより、活性汚泥の沈降性が悪化し、きれいな上澄みの処理水が得られなくなる障害。汚泥が流出するため、処理水質の悪化と共に、汚泥流失により活性汚泥槽の排水処理能力が低下してしまう生物処理における代表的な障害。対応策としては、薬剤の供給や凝集剤を投入する。ただし、これでも対応できない場合は排水の流入を停止する。 - ※2MLSS
有機性排水を生物分解処理する活性汚泥槽の活性汚泥(=微生物)量。 - ※3BOD
水中の有機物量の指標で、20℃で5日間に水中の生物が呼吸した量(酸素量)を言う。水中生物は水中の有機物を消費して呼吸するので、BODは生物により分解できる有機物量の指標となる。 - ※4SS
孔径1µmのろ紙にかかる固形物量。汚泥も含む。
研究分野
設計統括部設計企画部